なぜ若者の「居住の安定の確保」とその具体化は行われないのだろうか。住生活基本法は理念を定めた法であり、具体的な住宅政策の中身は「住生活基本計両」という、国と都道府県の計画によっている。国の計画は「全国計画」といい、二〇〇六年九月に閣議決定された。「都道府県計画」は全国計画に即して二〇〇七年三月までに全都道府県で策定された。国の計画(住生活基本計画・全国計画)は、「基本的な方針」の部分で次のように述べている。
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「豊かな住生活は、人々のニーズが反映される市場において、一人一人が自ら努力することを通じて実現されることを基本とすべきである。このため、国及び地方公共団体の役割は、市場が円滑かつ適切に機能するための環境を整備するとともに、市場に委ねていては適切な資源配分が確保できない場合にその誘導・補完を行うことにある」市場とは、民間住宅市場のことであり、その市場(若者が選択できる低廉で適切な住宅は極めて狭い市場幅でしかない)で、自助努力によって住宅の確保を実現すべきというのである。民間市場ですべての若者が自助努力によって住宅を確保することができる条件が、社会的に整備されていればともかく若者の所得水準と民間住宅の高家賃を考えると、実態とかけ離れた認識と言わざるをえない。しかも、「国及び地方公共団体の役割」を、市場の環境整備、市場の誘導・補完を行うことに矮小化してしまっている。